ドイツ政府と3Dプリンター産業界が、3Dプリント技術支援強化で協働
最近、ドイツの製造業界における3Dプリンターおよび3Dプリント技術の活用を巡り、産業界と政府が新たな協議を行った。これは、製造業における先端技術への投資競争が激化する中、ドイツが世界の他国に後れを取る可能性を懸念してのものである。
まず、産業界側からは、3Dプリンターや3Dプリント技術への政府の明確な支援枠が現行予算に盛り込まれていないことへの懸念が提示された。ある業界団体の代表は、「海外では米・中・豪州などが積極的に支援しているのに、ドイツではまだ具体的な資金措置が確認できない」という見解を示している。
政府側では、該当分野の実情を把握すべく、担当官庁が産業界からのヒアリングを継続しており、短期的な支援検討の意向も示された。だが、現時点では具体的な補助金制度や支援プログラムの発表には至っていない。

なぜこのような動きが出ているのか。それは、3Dプリンターや3Dプリント技術が「製造業の新しい柱」として位置づけられており、従来の切削加工や金型など既存手法に比べて、軽量化・高機能化・設計自由度という点で優位性を持つからである。例えば、建設現場での3Dプリンター利用に関しても、「材料を必要なところだけ使うため、エネルギー・資材の使用が抑えられる」との評価がある。
さらに、ドイツ政府としても「スマート製造(Smart Manufacturing)」政策の中で、3Dプリンターおよび3Dプリント技術を重要な技術分野にリストしており、産業革新の鍵と位置づけている。

一方で、課題も少なくない。例えば、3Dプリント技術を広く製造現場に導入するには、材料・プロセスの標準化、量産対応、安全・品質の検証制度などが必要である。建設業界では、3Dプリンターによる建築で「材料・工程が既存の建築基準に合致しない」との指摘もある。
産業界・政府が今回掲げている中心的な要求は、2026年から開始予定の「大型3Dプリンター・3Dプリント技術“灯台プロジェクト”(Lighthouse Project)」を支援する枠組みを創設することにあり、製造業の先端領域を牽引し、国際競争力を取り戻したい狙いがある。
このような対話の継続および支援制度の具体化が実現すれば、国内の3Dプリンター導入・3Dプリント技術活用が加速し、設計から製造、アフターサービスまで含めた一貫的な製造モードの変革が期待される。
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