植物由来ポリマーを採用し高い柔軟性と耐久性を維持した新世代3Dプリンター用TPU素材
持続可能な材料と環境配慮型製品の研究・開発を行うスタートアップ Ecogenesis Biopolymers は、環境負荷の低減を目的として、植物由来ポリマーを採用したFDM方式の3Dプリンター用TPUフィラメント「genTPU」を発表した。本製品は、柔軟性と耐久性が求められる3Dプリント用途に対応しながら、生分解性を兼ね備えた次世代材料である。

「genTPU」最大の特徴は、Algenesis Labsが開発した植物由来ポリマー「Soleic TPU」を採用している点にある。「Soleic」は再生可能な植物資源から作られており、米国農務省(USDA)のバイオプリファード認証を取得しており、石油由来素材と比較してカーボンフットプリントを約78〜84%削減できるとされている。

「Soleic TPU」は、3Dプリント用の柔軟素材としては初めて「完全生分解性」をうたうTPUである。実験室環境において、改良ASTM D5338規格に基づく試験では、45℃・180日間で約27%の生分解が確認された。これは、従来のTPUではほとんど分解が進まなかった点と比較すると大きな進歩である。また、本素材は使用中に劣化するのではなく、製品としての役割を終えた後にのみ分解が進むよう設計されている。さらに、分解時にマイクロプラスチックを残さず、海洋環境を含む自然界で完全に分解されることを想定している点も特徴だ。

一方で、環境配慮型素材は性能が劣るという懸念を持たれがちだが、「genTPU」は従来のポリウレタンと同等の機械強度と柔軟性を維持しており、スマートフォンケース、ガスケット、プロテクター、産業用部品など、幅広い3Dプリント用途への実用的な展開が可能となる。
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