形状記憶フィラメント『SMP55』を検証

3Dプリンタ用形状記憶フィラメント『SMP55』を検証

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キョーラク株式会社と株式会社SMPテクノロジーズが共同開発した、形状記憶樹脂フィラメント『SMP55』。先日当サイトでもその詳細(こちら)をお伝えし、大きな話題となったこのフィラメントについて、実商品による検証を行ってみました。

※こちらのフィラメント「購入前にちょっと試してみたい!」という方のため、3Dプリントフィラメント専門ショップ3DFSでもお試し用サンプルをご用意してみました。スプール単位での購入前に試してみたい方は、こちらをご利用ください。
形状記憶ポリマーフィラメント『SMP55』5メートル
形状記憶ポリマーフィラメント『SMP55』10メートル

スプール単位ご希望の方は、こちらからご購入ください。

形状記憶樹脂3Dプリンター用フィラメントを検証

一般的なPLAやABS素材の場合、当然3Dプリント後に形状変形を行うことはできませんが「SMP55」は、お湯やドライヤーを利用し55℃以上に温めることで、造型後からでも変形を加えることが可能になります。更に変形を加えた造形物は、再び55℃以上に温めることで元形状に回帰する性質を持つ形状記憶フィラメントです。また、SMPには形状記憶特性だけではなく生態適合性があり、人体に優しい素材として直接肌に触れる製品に適用することができる仕様となっています。

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3Dプリント時の精度について

今回、検証用に複数形状の造型を試みてみましたが、かなり特徴的な素材のため、3Dプリンタの種類(特性)によってはセッティングに少し苦労するかもしれません。

メーカーサイドが提示する条件(特徴)は以下の通り

  • 造形温度:PLA同程度(約200℃)
  • 層の融着が非常に強力
  • 収縮はほとんどない(PLA同等)
  • 造形時に臭いが発生しない
  • 造形面のヒートベッドは不必要
    ガラス、マスキングテープ、ビルドタックに良好に定着

ヒートベッドへの定着性は他の素材と比べるとあまり高くないため、造型する形状によってはマスキングテープや接着材の併用が望ましいと思います。
また、層間の融着性も形状次第なため、この辺りはトライ&エラーを繰り返し、ベストなセッティング値を探る必要があるかもしれません。

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温度による変化の検証用にシンプルな四角柱を造形

検証のため、造型物を温めたお湯に浸してみます(検証時のお湯の温度は60~65℃)
お湯に投入後は直ぐに軟らかくなり、取り出してから簡単に形状変形させることが可能です。

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55℃以下になると硬化しはじめますが、暖かい間は自由に変形させることができます。

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先端をつまんで、牛乳パックのような形に変形させてみました。

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実際に、お湯に入れた後の軟らかさはこんな感じ

 

グニャグニャと変形を加えた後は、お湯に入れることでオリジナルに近い状態に戻すことができます。ただこの段階からある程度正確に形状を戻すには、元々の造型物の形や材料厚など様々な要素が影響するため、どんなモノでも思うがままに変形~復元できるわけではありません。
しかし、元々が精度を要求するような環境での使用は想定されてないと思われるため、医療など利用環境によってはこの形状記憶特性がベストなのかもしれません。

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お湯から上げて形を整え冷ませば、徐々に硬化して形状を維持します。

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今回は温度による変化を確認することがメインだったため単純な形状で検証行ってみましたが、今後は様々な形状、肉厚、レイヤー値などセッティングを変え、改めて検証を行ってみる予定です。

形状記憶フィラメント『SMP55』詳細

造形条件

  • 造形温度:PLA同程度(約200℃)
  • 層の融着が非常に強力
  • 収縮はほとんどない(PLA同等)
  • 造形時に臭いが発生しない
  • 造形面のヒートベッドは不必要
    ガラス、マスキングテープ、ビルドタックに良好に定着

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