廃プラスチックを資源へと変える3Dプリント技術、万博の舞台で実用化に成功
積水ハウスグループの建設大手鴻池組とスワニーは、大阪・夢洲で開催されている大阪・関西万博に向け、現場から回収した、資材梱包などに使用されるPPバンドなどの廃プラスチックを利用した演台・司会者台を3Dプリンターで製作し、納品した。
3Dプリンターを用いて製作した演台
建設現場では、資材梱包に用いられるPPバンドなどの廃プラスチックが大量に発生するが、多くは焼却処分(サーマルリサイクル)されているのが現状だ。こうした課題に対して、鴻池組はかねてより取り組んでいた3Dプリントによるマテリアルリサイクル技術を応用。大阪・関西万博のテーマである資源循環に貢献すべく、演台製作という具体的な形で提案し、博覧会協会からの承諾を得て実施した。
3Dプリンタによる製作プロセス
演台・司会者台の製作には、現場から回収した廃PPバンドをリペレット化した材料を使用し、スワニーが保有する大型ペレット押出式3Dプリンターで成型を行った。リサイクル素材は全体の50%以上を占め、残りは強度や形状安定性を向上させるためのコンポジット材料を使用。また、公式ロゴなどのデザインエレメント部には、旭化成が開発した環境配慮型のセルロースナノファイバーフィラメント材を採用し、すべての部位を環境配慮型材料で統一している。
ペレット押出式3Dプリンター「EXT TITAN Pellet」
製作された演台・司会者台は、3月23日の大阪ヘルスケアパビリオン開館式や、3月27日の専門部隊発足式で既に使用されており、万博期間中の各種イベントでも活用される。
3Dプリンターを用いて製作した司会者台
鴻池組の3Dプリンター技術担当者は、「建設現場におけるマテリアルリサイクルについて、また新たな取り組みができたと考えています。今回は一品生産だったため3Dプリンターという手段をとりましたが、今後も案件に応じて柔軟な発想でマテリアルリサイクルに積極的に取り組んでいきたいと思います」と述べている。
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