ETH学生が高速多素材対応3Dプリンタを開発

ETH学生チームが高速・多素材対応の金属3Dプリンターをわずか9カ月で開発

スイス連邦工科大学(ETH Zurich)の学生チームが、高速かつ多素材に対応する革新的な金属3Dプリンターを開発した。このプリントシステムは、従来の方式と異なり、粉末供給とガス流を回転させながらレーザー造形を行うことで、複数の金属を同時に処理し、生産時間とコストを大幅に削減する。この革新的な技術は、ロケットノズルやタービンなど航空宇宙産業での応用が期待されている。

ETH Zurichの学部生6人によるプロジェクト「Focus Project RAPTURE(以下 RAPTURE)」は、わずか9カ月という短期間で設計から組立、試験までを成し遂げた。従来のレーザー粉末床溶融法では、各層を形成するたびに造形を一時停止し粉末を敷き詰める必要があったが、今回のシステムは回転するプラットフォームを採用することで粉末の供給とレーザー照射を同時に実施し、特に円筒形部品の製造時間を3分の1以下に短縮できる。

さらに、このシステムの大きな特徴は、二種類の金属を同時に造形できる点にある。
ロケットノズルのように高温や高圧にさらされる部品では、複数の金属を組み合わせて強度や耐久性を高める必要がある。しかし従来の方法では工程が複雑でコストも高く、小規模なチームには実現が難しかった。RAPTUREは必要な場所にだけ材料を供給する仕組みを採用し、無駄な粉末を減らして効率的に造形できるだけでなく、不活性ガスを造形部に流すことで酸化を防ぎ、同時に発生する副生成物も除去できるようになっている。

この新型3Dプリンターは、ロケットノズルに限らず、航空機用やガスタービン、さらには電動モーターなど、リング状の部品が多い分野での活用も期待されている。すでにETHは特許を出願し、その革新性が評価され「ETH Spark Award」にノミネートされた。
試作機では直径20センチの部品製造に成功しており、今後はさらなる大型化や高速化を目指しながら、産業パートナーとの共同開発も進めていく計画だ。


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