- 2025-10-23
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3Dプリント建築で造られた持続可能なモジュール型砂漠用シェルター「Desert Ark」
内モンゴル・テンゲル砂漠に、3Dプリンターで造られたシェルター「Desert Ark(デザート・アーク)」が誕生した。砂漠の緑化活動や植林事業に携わるボランティアたちの拠点として建てられたこの建築は、3Dプリント技術を活用し、極限環境でも快適に過ごせる持続可能な住空間を実現する。
砂漠の緑化活動や植林事業は、地球環境の維持に欠かせない。しかし、過酷な環境の中で活動する人々にとって、長期滞在のための居住環境は常に課題だった。この問題に挑んだのが、中国のサステナブルデザインスタジオ「designRESERVE」であり、彼らは、3Dプリンターによって造られたモジュール型シェルター「Desert Ark(砂漠の方舟)」を開発した。
「Desert Ark」は、内モンゴル自治区テンゲル砂漠に設置された直径約150平方メートルの円形拠点で、9つのモジュール(キッチン、食堂、シャワールームなど)で構成されている。各モジュールは砂を主成分とする3Dプリント材料で造形され、波状の外壁形状が強風を和らげるとともに、砂漠の景観に自然に溶け込む。また、壁の内部には空洞を設け、冬の-30℃から夏の45℃までの激しい温度差を緩和。3Dプリント特有の層構造が自然な断熱効果も生み出している。
この建築の最大の特徴は、「砂漠で建てる」のではなく、「都市でプリントし、砂漠で組み立てる」点にある。中国・無錫市の工場で分割プリントされた部材は、トラックで砂漠に運ばれ、現地の遊牧民の協力によりわずか2日で完成。基礎には砕石とコンクリートキャンバス、プラスチックパレット、亜鉛メッキ鋼パイプを使用し、砂上でも安定して設置できる構造となっている。さらに、太陽光パネルと給水システムを備え、電力も水も自給可能である。
「Desert Ark」は、中国初の“砂漠環境に建つ3Dプリントコンクリート建築”として位置づけられており、環境再生と地域社会支援の両面から高く評価されている。さらに、設計チームはこの技術を「火星や月などの地外建築」への応用も見据えている。現地の砂(レゴリス)を素材として3Dプリントする構想は、宇宙開発分野でも現実味を帯びつつある。
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