Crealityが新規IPOで上場へ、最新の評価額は5億ドル

Crealityが新規株式公開(IPO)を実施、最新の企業価値は5億ドルに到達

中国の3Dプリンター大手 Creality(創想三維)が2025年8月に香港取引所へ上場申請書(Application Proof)を提出。公開された書類には、収益推移や製品ラインナップ、株主構成、販売網などが詳細に記載されており、同社の実像が明らかになった。

Crealityは、2025年8月に香港取引所へ上場申請書(Application Proof)を提出。公開された書類には、収益推移や製品ラインナップ、株主構成、販売網などが詳細に記載されており、同社の実像が明らかになった。
同社の事業内容は、高速造形に対応した「K1C」や大型モデル「K1 Max」、次世代機「K2」などのデスクトップ型3Dプリンターを中心に、フィラメントなどの消耗材、レーザー加工機、3Dスキャナー、専用ソフトウェアにまで広がっており、ユーザー体験と生産性の両立を掲げ、ラインナップを拡充してきた。販売網は世界約140カ国・地域に及び、直営・ECを含む74のオンラインストアと2,163のディストリビューターを通じてグローバル展開を行っている。

業績面では、売上が2022年134.6億元、2023年188.3億元、2024年228.8億元と拡大し、2022~2024年の年平均成長率は30.4%を記録。2025年第1四半期も70.8億元と高水準を維持している。粗利率は2022年の28.8%から2025年第1四半期には35.2%まで上昇し、収益性の改善傾向も明確だ。2024年の当期純利益は8.866億元を計上した。収益構成にも変化があり、3Dプリンターの売上比率は2024年61.9%から2025年第1四半期61.3%へと縮小し、消耗材や周辺機器の成長による収益分散が進んでいる。
資本構成を見ると、2021年に約5.085億元の外部資金を調達しており、前海FOFや深創投(SCGC)、Tencent VC、中航坪山などが参画した。最新の申請書では、前海FOFが5.81%、SCGCが4.32%、Tencent VCが2.16%、中航坪山が1.45%を保有。創業者4名の合計持株比率は約81.98%と依然として高い。一方で、株主の一部には米国OFACのNS-CMICリスト対象であるAVICが含まれており、米国投資家にとってはコンプライアンス上の留意点となる。

同社の製品とサービス image :香港証券取引所提供

今回の上場には、肯定的な側面と懸念の両面がある。肯定面では、調達資金を研究開発や素材ラインアップの拡充、ソフトウェアとの統合強化に振り向けられることが期待され、3Dプリンターと3Dプリント技術の普及にも追い風となる。一方で、高速・高機能分野での競争激化や消費市場の減速、素材・物流コストの変動、株主に起因する規制リスクといった不確実性も存在し、上場後の評価や資金調達環境に影響を与える可能性がある。
それでも、IPOが順調に進めば、Crealityは製品ポートフォリオとサプライチェーンの最適化を加速させ、3Dプリンター単体に依存しない収益モデルの構築が進むだろう。さらに、資本市場での成功事例が増えることで、業界全体における材料・ソフトウェア・周辺装置を含むエコシステム投資の活性化が期待され、3Dプリント産業の次の成長段階を後押しする可能性がある。


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