- 2025-7-16
- 最新情報
- 3DPS, Bambu Lab, Creality, Desktop Metal, FDM, FFF, Flashforge, Formlabs, MarkForged, Nano Dimension, Nikon, SLM Solutions
エントリー3Dプリンターの出荷台数が22%増、産業用は経済不安で減速
市場調査会社 CONTEXT の最新レポートによれば、2025年第1四半期における3Dプリンターの総収益は前年比5%増加。その成長をけん引したのは、価格が2,500ドル(約37万円)以下のエントリーモデルであり、特に Bambu Lab の出荷数は64%増と著しい成長を示している。一方で、産業用や中価格帯のモデルは減速し、業界に二極化の兆しが見られる。
価格帯別3Dプリンタ出荷台数 Photo : CONTEXT
このセグメントでは、出荷台数が1,000万台を超え、前年比22%増と急伸。Bambu Labは出荷数を64%伸ばし、Crealityはシェア39%でトップを維持している。FlashforgeやElegooも好調で、主に中国メーカーがこの成長を支えている。
一方、価格が10万ドル(約1,500万円)以上の産業用3Dプリンターは苦戦している。産業用途としては金属系プリンターが比較的健闘したものの、全体としては出荷台数が14%、収益が6%減少。Eplus3DやNikon SLM Solutionsなどが提供する多レーザー対応の金属PBF(粉末床溶融結合)機は一部で需要を維持したが、市場全体は伸び悩んでいる。
世界的にシェアを拡大しているBambu Labシリーズ
また、2万~10万ドルの中価格帯モデルも、前年比16%の出荷減となった。唯一、中国のUnionTechが国内需要を背景に出荷数を13%伸ばすなど健闘。Flashforgeは中東・アジア市場でのジュエリー向け用途に強みを見せている。
2,500〜2万ドルのプロフェッショナル向け3Dプリンターでも、FDM/FFF方式の出荷は31%減。代わって光造形(mSLA)方式が前年比19%増と回復傾向を示し、FormlabsやSprintRayの新モデルが好調に推移している。
価格帯別3Dプリンターの四半期売上高 Photo : CONTEXT
市場全体としては、物価上昇や高金利、地政学的リスクといったマクロ経済要因により、企業の設備投資意欲は低下。産業用セグメントの本格的な回復は2026年以降になると見られている。こうした中、OEM各社は利益率の向上やM&Aを進め、体制を整えている。たとえば、Nano DimensionによるMarkforgedとDesktop Metalの買収や、TRUMPFのAM部門売却などが挙げられる。
関連記事:Nano DimensionがMarkforgedの買収を完了
航空宇宙・防衛分野を中心に、3Dプリント技術への関心は根強く、将来的なサプライチェーンの地域最適化や製造の自律化といった需要が今後の成長を支えると期待されている。CONTEXTのグローバル分析担当副社長Chris Connery氏は、「産業用システムに対する潜在需要は依然として高く、2026年には金利の低下とともに設備投資が再加速する可能性がある」と述べている。
関連記事
- 次世代3Dプリンター「Bambu Lab H2D」販売開始!
- H2D後継機?Bambu Labの新モデル画像が流出
- Nano DimensionがMarkforgedの買収を完了
- 金属3Dプリント市場2024年に大幅拡大
3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターへの登録はこちら
最新情報をお届けします
Twitter でid.artsをフォローしよう!
Follow @idarts_jp