CHANELとErproが2200万本のマスカラブラシを3Dプリント

世界最大規模の3Dプリント生産事例、CHANELとErproが2200万本のマスカラブラシを3Dプリント

フランスのラグジュアリーブランドである CHANEL(シャネル)は、3Dプリント技術を用いた大規模生産に対応したフランスを代表する3Dプリンティングサービス企業 Erpro Group と共同で、2017年より3Dプリント技術を活用した大規模なマスカラブラシの生産を開始した。これまでに2200万本以上のブラシが生産されており、週に25万本が出荷されている。この取り組みは、消費材分野におけるアディティブ製造(3Dプリント)技術の最も成功した事例の一つとされている。

1997年の設立以来、Erproは、FDM、ステレオリソグラフィー、SLS(金属3Dプリント)など、多様な3Dプリント技術を駆使した高い技術力により、自動車、航空宇宙、包装など多岐にわたる産業分野で著名ブランドとのコラボレーションを実現してきたが、その中でもシャネルとのパートナーシップは特に注目すべきプロジェクトである。

シャネルとErproの提携は、2017年に開始され、シャネル初の3Dプリントブラシを用いたマスカラ「Le Volume Révolution de Chanel」が誕生した。このブラシは、ポリアミドをSLS(レーザー焼結技術)で成形し、Arkemaが提供するバイオ由来のPA11素材を使用している。ブラシの表面は微細なテクスチャが施されており、マスカラがまんべんなくまつ毛に塗布され、ムダなく均等に仕上がる。また、ミクロン単位で配置されたピンや先細りの形状により、ドラマチックなボリュームと繊細な仕上がりを実現する。ブラシに設けられたマイクロキャビティが、適量のマスカラを保持し、重ね塗りの際にもスムーズにボリュームを調整できるのが特徴である。

Erproの広範な3Dプリント能力はフランス国内の複数の拠点で展開されており、主にポリマーや金属の3Dプリント、機械加工、プラスチック射出成形などに対応している。同社は、企画段階から製品の完成まで、顧客のプロジェクトを全面的にサポートするサービスを提供しており、仕上げや装飾、塗装なども一貫して対応できる体制を整えているため、今後もシャネルとの提携は長く続くと見られている。


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