- 2025-5-28
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ニューヨーク州が3Dプリント銃設計図の共有に初の罰則導入、違法な3Dプリント銃対策をさらに強化
ニューヨーク州で、3Dプリント銃や「オートシアー」と呼ばれる自動化装置の拡散を防止するための法案が再提出された。今回の改正では、3Dプリント銃の設計図を意図的にオンライン上で共有する行為も処罰の対象とし、安全対策をさらに強化する狙いがある。
この法案では、3Dプリンターで出力可能な違法銃や部品の設計図を、故意にオンライン上で配布・共有する行為を新たにクラスA軽罪(最高1年の禁固刑)に分類し、これまでの法の抜け穴を埋める形となっている。オートシアーとは、わずか5ドルほどで作成でき、玩具に偽装することも可能な装置で、通常の半自動銃を全自動銃に変えてしまう非常に危険な部品である。マンハッタン地区検事ブラッグ氏は「銃犯罪対策は包括的かつ強力なアプローチが必要です。今回の法案は違法な3Dプリント銃の流通を阻止し、市民の安全を守るための重要な一歩です」と述べている。
背景には、過去の法整備において、3Dプリント銃の製造や部品の所持自体は犯罪とされていたものの、その設計図のオンライン共有には明確な罰則が存在していなかったという現状がある。この空白を埋めるため、法案では設計図配布も厳しく取り締まる方向で調整が進められている。また、この法案の再提出は、近年3Dプリンターと過激派思想の結びつきが懸念されていることも一因とされている。カナダ王立軍事大学のヤニック・ヴェイユ=ルパージュ准教授の研究によれば、極右思想を持つ者による3Dプリント銃の利用・製造事例が40件以上確認されており、これらの武器は政府規制への反抗や自立の象徴として位置づけられているという。
この問題に対し欧州企業も動き始めており、フランスの3DプリンターメーカーDagomaは、非機能の偽設計図を大量に公開することで、違法な図面へのアクセス妨害を試みている。一方で、米国では「言論の自由」を理由に反対の声もあるが、同州のローゼンタール下院議員は「3Dプリンターで武器を作れる時代だからこそ、州として可能な限りの対策を講じる必要があります」と法案の意義を強調している。
マンハッタン地区検察が2020年から進める「ゴーストガン対策プログラム」では、これまでに違法銃92丁、ゴーストガン部品134点、消音器や大容量マガジンなども含めて数百点以上の押収に成功しており、今回の法案もその一環として位置づけられている。
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