欧州3DプリンタメーカーBCN3Dが経営破綻

欧州の3DプリンタメーカーBCN3Dが経営破綻、3Dプリント業界の淘汰と再編が加速

スペイン・バルセロナを拠点とする3Dプリンターメーカー BCN3D が、債務再編に失敗し、裁判所に自主破産を申請した。IDEX方式の3Dプリンタで一世を風靡した同社だが、収益の伸び悩みと激化する市場競争の中、存続をかけた買収交渉が行われている。

2012年に大学の研究プロジェクトとして創業しBCN3Dは、独自のIDEX(二重押出機)方式を採用したSigmaシリーズやEpsilonシリーズで業界に新風を巻き起こした。さらに、2023年には高粘度樹脂を活用した「VLM(Viscous Lithography Manufacturing)」技術を独立事業「Supernova」としてスピンアウトさせていた。
同社は、これまでに1,000万ユーロ以上の民間投資と700万ユーロ相当の公的助成を獲得してきたが、年間売上は500万ユーロ前後で頭打ちとなり、累積損失は1,000万ユーロに達し、財務の逼迫が続く中、持続的な事業成長には至らなかったとみられる。

一方、スピンアウト先のSupernovaは、BCN3Dとの法的関係を一切否定し「当社は完全に独立しており、資金面も安定している」と発表。高粘度樹脂を用いた独自の材料ポートフォリオを構築し、3Dプリントだけでなく射出成形分野においても高い性能を実証したという。

今回のBCN3Dの破綻は、欧米の3Dプリンタ業界における再編の一環ともいえる。Ultimaker、Aleph Objects、Zortraxといったかつての有力ブランドも経営難に直面しており、現在ではPrusa Researchのような一部の企業を除き、持続的成長を遂げる企業はごくわずかとなっている。特に、中国メーカーの台頭と価格競争力の高さが、欧米勢に大きな打撃を与えている。
BCN3Dが買収により一部事業の継続にこぎつけるか、それとも市場から姿を消すかは今後の交渉次第だが、世界の3Dプリント業界は、新たな技術革新と市場再編を同時に迫られる局面に入っている。


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