StratasysとBambu Labの特許紛争、約2,760万ドル評決の裏で問われた3Dプリント技術
Stratasys が、Bambu Lab 製3Dプリンターに自社特許が使用されているとして米国で争っていた訴訟で、陪審はBambu Lab側による4件の特許侵害を認定し、約2,760万ドルの損害賠償を認めた。争点となったのは、多色造形時のパージタワーや造形制御、荷重検出など、現在の3Dプリンターを支える身近な技術である。

今回の訴訟は2024年8月、StratasysがBambu Labおよび関連企業を相手取り、米テキサス州東部地区連邦地裁へ提訴したことから始まった。当初は計10件の特許が争われたが、2026年9月の陪審審理では4件が対象となり、陪審はいずれも侵害を認定した。損害額の内訳は、多色・複数材料造形で使われるパージタワー関連技術が約1,420万ドル、材料押出方式による造形方法が約1,060万ドル、造形面などを検知する荷重検出関連の2特許が合計約280万ドルで、総額は約2,760万ドルとなった。
特に注目されるのが、フィラメント交換時にノズル内部へ残った材料を排出するために使う「パージタワー」である。多色対応3Dプリンターでは一般的に見られる機能だが、特許侵害の判断では単に同じ目的の塔を造形しているかではなく、材料をどの順番で切り替え、各層をどのように形成するかという具体的な処理方法が問題となる。外見上は同じ動作に見えても、内部の制御方法や造形手順の違いが特許の対象になり得る点が今回の争いの核心である。

Stratasys共同創業者Scott Crumpが保有したFDMの基本特許は2009年に失効し、その後の低価格3Dプリンター普及を後押しした。現在の競争は造形方式そのものより、多色化、自動補正、センサー制御など周辺機能の改良へ移っており、今回の訴訟はその変化を映している。
一方、この問題は米国だけで完結していない。欧州統一特許裁判所は2026年4月、同系統のパージタワー特許をめぐる仮差し止め請求で、「Bambu Lab H2C」について侵害の可能性は低いとの判断を示した。同じような技術でも、特許文言の解釈や対象製品、地域によって結論が異なることを示す例である。

Bambu Labは米国評決に異議を唱え、上訴などの手続きを進める方針を示しており、現時点で対象製品の販売差し止めも出ていない。今回の評決は、急速に高機能化するデスクトップ3Dプリンター市場で、性能競争だけでなく知的財産戦略がメーカーの製品設計や今後の開発方向を左右する時代に入ったことを象徴している。
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