ホットエンド交換で色替えの無駄を削減、Bambu Lab「H2C」2025年末出荷予定

無線加熱&ホットエンド交換で色替えの無駄を削減する新型機「Bambu Lab H2C」2025年末出荷予定

3Dプリンター業界をリードする Bambu Lab は、2025年8月26日に発表した最新の大型3Dプリンター「Bambu Lab H2S」と共に、2025年度中に発売を予定している「H2」シリーズの新製品「Bambu Lab H2C」の存在と設計思想を公式ブログで公開した。
「H2C」は、3Dプリント技術における“色替え=排出ゴミ”の無駄を減らすため、ホットエンド交換を前提とした無線加熱・無線計測の仕組みを採用している。
同社が売上への影響を承知のうえでこのテクノロジーについて事前告知する理由は、購入後の後悔を避けるための透明性を重視しているかである。

「H2C」は、3Dプリンターで多色・多素材を扱う際に生じるノズル内の残留材パージ(排出ゴミ)をできるだけ減らすことを狙い、ノズルそのものではなくホットエンドを交換する設計思想に基づいている。
色替え時に起こる汚れはノズルの先端で発生する。しかしノズルは単独では動作せず、本体の動き(モーション)、フィラメントの送り出し、加熱や温度管理といった仕組みと密接につながっている。そのため「どの部分を交換するか」によって、信頼性とコスト・サイズのバランスが変わってくる。この点についてBambu Labは次のように整理している。

  • A)ガントリーごと交換(IDEX方式)
    構造はシンプルで接続トラブルは少ない。ただし装置が大きく高価になり、複数ノズルの搭載は難しい。
  • B)ツールヘッドごと交換(E3DやPrusa、Snapmakerなど)
    モーション部分は共用できるため省スペースになる。しかし、ガントリーとツールヘッドをつなぐ機械的な接点が増え、接続の確実性が課題になる。
  • C)ホットエンドのみ交換
    さらに小型化・低コスト化が可能。ただし、加熱や温度測定に必要な電気的な接続をどう安定させるかが大きな問題となる。
  • D)A1ノズルのように、ツール側から熱を伝える方式
    交換する部品を最小限にできるが、熱を安定して伝えることが難しく、長期的な安定性が課題となる。

Bambu Labは、2023年時点で上記のC案(ホットエンド交換)を最適解と判断しつつ、最大の壁である電気的接続を「無線化」で突破した。具体的には、ホットエンドの加熱に誘導加熱を用い、温度計測と通信も小型マイクロ回路で無線化。これによりホットエンドは「ノズル/ヒートブレイク/サーミスタ/小型PCB」の4部品構成、質量約10g、約20×15×56mmのコンパクト化を達成した。

一方で、ノズル(ホットエンド)を正しい位置に取り付けることは大きな課題となる。交換するたびに、ミクロン(1mmの千分の1)単位の精度で同じ場所に収まらなければ、プリント表面に傷や段差ができてしまう。そのためには、何度繰り返してもズレない機械設計と、素早く正確に測定できる仕組みの両方が必要になる。さらに、ハードウェアが完成してもそれだけでは不十分で、ファームウェア(組込みソフト)、スライサー、ユーザーインターフェースといったソフトウェア面の完成度も欠かせない。これらが整って初めて、製品を出荷できるかどうかの判断ができるのだ。

この革新的な技術を搭載した「H2C」の出荷は2025年末を予定しているが、既存の「H2D」シリーズを所有するユーザーに対し、「H2DからH2Cへのアップグレードは可能だが、相応のスキル・時間・手順遵守が必要で、初心者には推奨しない」と明記している。また、先にリリースされた「H2S」からのアップグレードも理論上は可能だが、「H2D」同様に推奨されていない。

多面的な見方(メリット・懸念・比較)

「H2C」の仕組みには大きな期待がある。まず、ノズルのパージ(色替え時に発生する無駄な材料の排出)が減ることで、材料の節約やプリントの成功率向上につながり、結果的に運用コストを下げられる可能性が高い。また「色専用のノズルを用意する」という考え方は、より効率的で安定した3Dプリント技術の実現に役立つと評価できる。
一方で、仕組みが複雑になることで部品点数が増え、装置価格や信頼性、メンテナンス性に不安が残るという見方もある。特に長期的な使用での耐久性やトラブル発生時の対応コストは慎重に見極める必要がある。最終的な仕様や価格などは不明だが、一部の報道では、「H2C(開発コード Vortek)」は最大7色対応で、わずか約8秒で高速昇温を実現すると伝えられている。

2025年8月26日に発売された「H2S」


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