Xioneer、Bambu Lab H2Dで難加工のPAEK系材料「AM 200」の造形に成功
3Dプリント向けの材料などを開発するオーストリアの企業 Xioneer Systems は、Bambu Lab の最新3Dプリンタ「H2D」を使い、PAEK系の高性能材料「Victrex AM 200(低融点PEEK)」の造形に成功した。
一般的にPEEKはノズル温度380〜420℃が必要で、専用の高温対応機でしか扱えないとされてきた。しかし、Victrexが開発した「AM 200」は流動性と層間接着性を高めた低温仕様で、H2Dの350℃ノズルでも加工可能となった。Xioneerは、自社の可溶性サポート材「VXL 111」を併用し、造形後にアニール処理を施すことで、寸法安定性と強度を確保。
「VXL 111」はお湯(65℃以上)と専用洗剤で容易に溶解除去できるため、PEEK系材料の造形で課題とされるサポート除去の負担を大幅に軽減する。今回の造形は低速(25〜50mm/s)で行われ、ギアなどの小型部品を対象に安定した仕上がりを実現しており、Victrex社の担当者も「低融点化と流動性向上により、従来困難だった条件での造形を可能にしました」と高く評価している。
PEEKやPAEKは耐熱性・耐薬品性・強度・寸法安定性に優れ、医療、航空、エネルギーなど過酷環境で求められる素材だが、今回の成功は、これまで高額な産業機に限られていた高機能材料の活用を、より幅広いユーザーに開放する可能性を示すものである。一方で、H2Dの構造上、大型部品や長時間の高温造形には限界があり、商業生産にはさらなる改良が必要だ。
Xioneerは今後、Bambu Labの材料管理システム「AMS」との適合や、シミュレーションツール「Digimat-AM」を活用した物性評価も進める予定で、これにより、PAEK系以外の難加工樹脂(PA12やPPAなど)への応用も視野に入れている。
高機能素材の造形が手軽になるこの取り組みは、製造現場やメンテナンス部門、技術系プリントファームにとって新たな武器となり得る。
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