Bambu Lab、新ファームウェアアップデートに関する批判に対応

Bambu Lab、コミュニティの声に応えユーザーの自律性とセキュリティを両立する新たな3Dプリント環境を実現

深圳拠点の3Dプリンタメーカー Bambu Lab は、同社のX1シリーズ向けに新たなファームウェアを公開。このアップデートは、3Dプリント機能における認証と認可を導入することでセキュリティを強化する狙いがある。
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具体的には、ファームウェア更新やプリンターの操作権限、リモート映像の確認、LANやクラウドモードでの3Dプリント実行といった重要機能に対して新たな保護機能を設けたもので、外部からのハッキングや不正アクセス、サイバー攻撃を防ぐことを目的としている。しかし、一部の3Dプリントコミュニティからは、これが「オープンソース精神への逆行」と捉えられており、SNSやオンラインフォーラムでは批判の声が上がっている。Bambu Labはこうした批判に対し、「新しいファームウェアを導入しなくても、既存の外部ツールは従来通り利用可能です」と強調し、第三者開発ソフトウェアとの連携を可能にする新ツール「Bambu Connect」の提供を進めている。同社によれば、このツールはAPI相当の通信プラグインを置き換えるもので、外部ソフトウェアとの連携を維持しつつ、セキュリティを向上させる設計を採用しているという。

このファームウェアや新ツール導入の背景には、3Dプリンタテクノロジーが一般家庭から産業用途まで幅広く普及し、サイバーセキュリティの確保が避けて通れなくなっている現状がある。特に、Bambu Labは以前から遠隔操作やネットワークを介した3Dプリントの利便性向上に注力しているが、その一方でサイバー攻撃のリスクが高まることに懸念を示していた。今回のアップデートは、こうした攻撃を未然に防ぎ、安全な3Dプリント環境を構築するための措置であると同社は主張している。

Orca Slicer が Bambu Connect および Network Plugin と連携して動作する仕組み

一方、オープンソースに注力してきたユーザーや他社経営者からは懸念の声もある。コンクリート3Dプリント企業 Sunnyday Technologies の創業者兼CEOであるNick Sonnentag氏は、「オープンソースこそが大規模コミュニティのイノベーションを推進する」とし、新しいファームウェアによる制限がコミュニティ主導の技術発展を妨げる可能性を憂慮している。同じくデスクトップ3Dプリンタメーカー Prusa Research のCEO、Josef Prusa氏も「ユーザーデータの制御が強まる方向に業界が進むことへの懸念」を示している。
こうした批判に対してBambu Labは、「一部に誤情報が広まっている」としてブログで反論を行っている。たとえば「3Dプリンターをリモートで無効化する」「ファームウェアアップデートで外部ソフトウェアの使用がブロックされる」といった指摘は事実無根だと主張。また、同社が提供するLive View機能では、Peer-to-Peerの通信を利用しており、サーバー上に映像を保存することはないとも説明している。

さらに、Bambu Labは今後も3Dプリント技術の発展に合わせてセキュリティ面を強化していく方針を明らかにしている。ファームウェアの継続的なアップデートにより、リモート操作の利便性と安全性を両立させることが狙いで、今後発売される3Dプリンタには標準機能として今回の認証機能が搭載される予定である。3Dプリント技術がグローバルで拡大し続けるなか、セキュリティとオープンソースとの共存は引き続き大きな論点となりそうだ。


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