3Dプリンター市場が初の4兆円規模へ

3Dプリント技術が世界で加速成長、中国の台頭と低価格機の製造対応が新たな市場機会を生み出す

AM製造ビジネスに関する業界分析と市場予想を専門とする AM Research(AMR)は、2025年第3四半期のレポート「3DP/AM Market Data & Market Insights」を公開し、3Dプリンター市場が初めて四半期4.01Bドルに到達したと発表した。この金額には、金属3Dプリンター、樹脂3Dプリンター、セラミック3Dプリンターの販売に加え、材料や3Dプリントサービスの収益が含まれている。

同レポートによれば、世界の3Dプリンター市場が2025年第3四半期に、四半期ベースで初めて4Bドル(約4,000億円)を突破。金属・樹脂3Dプリンター、材料、サービスの全領域が成長し、スポーツ用品や中国の受託製造が新たな拡大分野として浮上している。特に、金属分野は1.59Bドル、樹脂分野は2.42Bドル、サービス分野は2.15Bドルと、いずれも前年比で2桁成長を記録。市場全体では前年同月比12%増、前四半期比3%増という確かな成長が示されている。

AMR副社長のScott Dunham氏は、業界には「実質的な成長モメンタムが生まれつつある」と指摘。同氏は、過去4年間は急増した企業数に比べて利益確保が難しい状況が続いたものの、現在は再投資や事業再編が進み、新たな成長機会をつかむ企業が台頭していると分析している。特に、既存のAM市場を“追い越す”ように急成長した企業は、革新的な3Dプリント技術の活用によって大きな市場可能性を手にする見通しだと述べている。

レポートでは、地域と産業の両面で注目すべき変化も示されている。まず、中国が急速に「3Dプリント受託製造の主要拠点」として成長しており、世界的な製造シフトがさらに加速している。また、スポーツ分野では3Dプリントされたシューズソールやギアの導入が進み、長期的な成長市場として期待されている。3Dプリンターが選手の身体データに合わせた装備を作れるため、従来方式との差別化が明確である点が評価されている。さらに、従来は高価だった産業用3Dプリンターが「低価格帯でも製造レベルに到達し始めている」点も大きな変化だ。金属・樹脂ともに中価格帯の3Dプリンターが生産現場で使われるようになり、大企業だけでなく中小製造業の導入も増えている。

本レポートでは、3D Systems、Stratasys、Desktop Metal、Velo3D、Nikon SLM Solutions、EOSに加え、Apple、Divergent、Creality、Bambu Lab、AnkerMake、SprintRayなど、幅広い企業の動向が整理されている。これにより、3Dプリント技術が工業用途からコンシューマー領域まで拡大し、エコシステムが巨大化していることがわかる。


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