土と樹脂を交互に積層して造形を安定化、使用後は材料ごとに分離・回収できる循環型ものづくりを目指す新方式
イタリアの3Dプリンターメーカー WASP は、土系材料とプラスチックを1回の造形で組み合わせ、崩れやすい土を樹脂で支えながら、使用後に分離・回収できる新しい3Dプリント技術「Dual Extrusion」を開発した。

WASPが開発を進める「Dual Extrusion」の特徴は、性質が大きく異なる2種類の材料を、異なる押出方式で交互に積み重ねる点にある。土や粘土のようなペースト状材料にはLDM(液体堆積方式)を、熱で溶かせる樹脂ペレットにはFGF(粒材溶融押出方式)を使用し、3Dプリンターが層ごとに造形方法を切り替える。
土を使った3Dプリントは、地域で得られる天然素材を活用できる一方、柔らかい状態では自重で変形しやすく、大きな張り出しや複雑な形状を作ることが難しい。

そこでWASPは、造形途中にプラスチックの補強層を挟み込み、土だけでは崩れやすい部分の安定性を高める方法を採用した。
一般的なデュアルノズル式3Dプリンターが複数の樹脂やサポート材を使い分けるのに対し、今回の方式は「土」と「熱可塑性樹脂」という性質の異なる材料と、押出技術そのものを組み合わせている点が特徴である。

さらに重要なのが、造形物を最初から分解できる複合材として設計していることだ。
異種材料を接着剤などで強固に一体化すると、廃棄時の分別や再資源化が難しくなるが、Dual Extrusionでは、土と樹脂を永久に接着させるのではなく、使用後に樹脂層を取り外し、それぞれ別の回収・再利用工程へ送ることを想定している。これは、製造時の性能だけでなく、製品寿命を終えた後まで設計に含める考え方である。

WASPは2012年からLDMとFGFの両方式を研究し、土を用いた建築や大型造形にも取り組んできており、今回の技術は、その2つの蓄積を1回の3Dプリント工程へ統合する新たな試みとなる。
現時点では初期試験と特許取得手続きが進められている段階で、対応機種、実用化時期、強度や分離性能などの定量データは公表されていない。今後、性能が実証されれば、建築部材や大型造形、再利用を前提とした仮設構造物など、循環型ものづくりへの応用が期待される。
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