上場から約2年で方針転換、BigRepが3Dプリンター事業の存続を優先する再編計画
ドイツのルクセンブルクに本拠を置く大型3Dプリンターメーカー BigRep は、事業の継続と財務体質の再構築を目的として、事業会社 BigRep GmbH の売却、上場廃止、持株会社 BigRep SE の自主清算を進める方針を発表した。これは、上場による拡大路線から、非上場での事業再建へ転換する大規模な経営再編となる。

フランクフルト証券取引所に上場し、事業会社の株式を保有する持株会社として機能しているBigRep SEは、同社が保有するドイツの事業子会社で、大型3Dプリンターの開発、製造、販売、材料、ソフトウェア、保守サービスなど、BigRepブランドの実際の事業を担うBigRep GmbHの全株式を、De Krassny GmbH、Koehler Invest GmbH、HAGE Holding GmbHの3社へ売却する方針を発表した。
今回の計画は、BigRepというブランドや3Dプリンター事業そのものを直ちに終了するものではなく、事業を担当するBigRep GmbHを新たな所有者へ移し、その後、上場会社であるBigRep SEを清算するという構造である。ただし、売却、清算、清算人の選任には臨時株主総会の承認が必要であり、通常の取引完了条件も満たさなければならない。売却価格と具体的な完了時期は公表されていないが、独立した評価に基づく公正な市場価格で取引すると説明されている。

BigRepは2014年の創業以来、1立方メートル級の造形が可能な大型3Dプリンター「BigRep ONE」をはじめとする産業用システムを展開し、自動車、航空宇宙、建築、研究開発など幅広い分野で導入実績を積み重ねてきた。同社の3Dプリント技術は、大型部品や試作品、製造治具などを短期間で製作できることから、開発期間の短縮やコスト削減を実現する技術として高く評価されている。
2023年にはオーストリアの産業用3DプリンターメーカーHAGE3Dとの統合を実現し、翌2024年にはフランクフルト証券取引所へ上場した。しかし、上場企業として成長を続けるためには、研究開発や設備投資だけでなく、情報開示や株主対応など多くの経営コストが発生する。BigRepは2025年に増資などの財務改善策を進めたものの、最終的には事業会社を新たな所有体制へ移し、上場会社を清算するという経営判断に至った。

BigRepの再編は、技術力の高さだけでは企業の成長を維持できないという、産業用3Dプリンター業界が抱える現実を示す象徴的な事例といえる。今後は、新たな経営体制のもとで製品開発やサポート体制がどのように強化されるのか、そして大型3Dプリンター市場でどのような成長戦略を描くのかが注目される。
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