風を可視化する3Dプリント彫刻

風そのものを動力に、3Dプリント技術で実現した軽量キネティック・インスタレーション

フランス・パリを拠点とするアーティスト Vincent Leroy は、アフリカ東部ザンジバル島の海岸に、風の動きをそのまま表現するキネティック・インスタレーション「Drifting Cloud」を設置した。本作は3Dプリンターを用いて製作された接合部を含む軽量構造により、自然の風に反応して絶えず姿を変える彫刻作品である。

「Drifting Cloud」は、ザンジバル島東海岸のジャンビアニ・ビーチに設置された屋外アート作品で、カーボンロッド、3Dプリントによる接合パーツ、そして凧用キャンバス素材の円盤で構成され、非常に軽く、わずかな風でも動くよう設計されている。
この作品の特徴は、モジュール構造にある。複数のパーツがそれぞれ独立して動きながら、全体としては一つの造形を保っている。そのため、風が弱いときには細かく震えるような動きとなり、風が強まると大きく揺れる動きへと変化する。規則性があるようで予測できないリズムは、自然そのものの振る舞いを視覚的に伝える。

構造の要となる接合部には3Dプリント技術が活用されており、軽量でありながら複雑な角度や可動性を持つ部品を正確に製作することが可能となった。金属加工では難しい微細な設計を、デジタル設計と3Dプリンターによって実現している点が、本作の技術的な特徴である。
また、本作品は周囲の環境や地域の活動を妨げないよう配慮されている。設置場所は海藻養殖が行われている沿岸部だが、構造物は地面から浮かぶように配置され、日常の営みに干渉しない。風という見えない自然エネルギーを「動き」として読み取ることで、時間や空間の変化を静かに可視化している。


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