- 2025-11-4
 - 最新情報
 - 3DFS, 3DPrinting, 3DPS, 3Dプリンティング, Brule, filament, Ultimaker, Ultimaker S3, Ultimaker S5, UltiMaker S7, VHS-CUBE, フィラメント, 東京大学, 金属焼結
 
Bruleが島津産機システムズ(株)「VHS-CUBE」を採用し、MEX方式で金属3Dプリント新時代を切り開く
国内有数の3Dプリンティングソリューションプロバイダーとして、金属3Dプリント事業を展開する Brule Inc.(以下 Brule) は、2025年10月16日、東京大学の 3DPATC(3D Printing Advanced Technology Center) にて「低コストを実現した金属3Dプリンティングソリューション」と題したイベントを開催した。

本イベントは、島津産機システムズ(株)社の小型真空脱脂焼結炉 「VHS-CUBE」 が東京大学3DPATCに初導入されたことを記念して行われたもので、金属3Dプリントの新しい形として注目を集める『MEX(Material Extrusion)』方式金属造形と、焼結技術を組み合わせた次世代ソリューションが紹介された。

PBF方式との比較で見える、MEX方式の優位性
これまで金属3Dプリントといえば、レーザーで金属粉末を溶融させて層を積み上げる PBF(Powder Bed Fusion)方式が主流だった。しかしPBF方式は、設備コストが数千万円から数億円規模に及び、粉末飛散や安全管理、運用スペース、熟練者の作業など多くのハードルが存在した。一方で、MEX方式(樹脂押出型)による金属3Dプリント は、一般的なFDM方式3Dプリンターをベースに金属含有フィラメントを使用するため、以下のような大きな利点を持つ。
- 設備コストがPBFの1/10以下
 - 密閉空間や粉末管理設備が不要
 - 一般的なオフィスや研究室にも設置可能
 - 造形後に焼結することで金属特性を再現
 

このような低コスト性と安全性、導入しやすさを活かし、研究開発や教育現場、中小製造業でも金属3Dプリントの活用が現実的になりつつある。
ステンレスフィラメントとBambu Lab A1 mini を利用したデモの様子
ステンレスフィラメントで造形されたサンプル
VHS-CUBEが支える高精度な焼結プロセス
Bruleは、焼結工程の中核として島津産機システムズ(株)社の小型真空脱脂焼結炉 「VHS-CUBE」 を採用している。「VHS-CUBE」は、高真空環境下で最大1,500℃の高温焼結を可能にするコンパクト炉であり、金属3Dプリント後の造形品を均一に焼結して高密度化する性能を持つ。特に、加熱ムラを抑える独自構造により、焼結後の金属部品の寸法精度・機械的強度・内部密度が大幅に向上。また、自動昇温・冷却制御によって焼結条件の再現性が高く、SUS316Lをはじめとする各種金属材料の安定した処理が可能なシステムとなっている。

この高精度かつ省スペースな「VHS-CUBE」の導入により、BruleはMEX方式金属3Dプリントの信頼性を大きく引き上げることに成功している。
3DPATCH内で島津産機システムズ(株)の小型真空脱脂焼結炉「VHS-CUBE」 を紹介する同社スタッフ
MEX方式を最大限に活かす Bruleの「金属焼結サービス」
Bruleは、イベントと同時に新たなサービスである「金属焼結サービス」を2025年11月4日より開始することを発表した。
このサービスは、ユーザーが自社の3Dプリンターで造形した金属パーツをBruleに送付し、3DPATC内の「VHS-CUBE」で焼結処理を行うことで、PBF方式に匹敵する品質を低コストで実現するものであり、この仕組みにより、高額なPBF装置を導入せずとも金属3Dプリントの試作・量産が可能となり、企業・教育機関・研究者にとって現実的な選択肢となる。
金属3D造形の概要

「金属焼結サービス」サービスの流れ
- ユーザーが所有する3Dプリンターで、第一セラモ社製「SUS316L」フィラメントを使用して造形。
 - 完成した造形品を3DPATC(Brule宛)に発送。
 - Bruleが島津産機システムズ(株)の小型真空脱脂焼結炉「VHS-CUBE」にて焼結を実施。
 - 焼結完了後、ユーザー指定住所へ発送。
 

尚、造形設備を持たないユーザーに向けては、Bruleによる受託造形やデモ機レンタル(最短3週間)にも対応している。
同サービスのリードタイムは、パーツ到着後約3〜4週間となっている。また、サービス開始時は「SUS316L」のみの対応だが、今後はチタン・銅など他の金属材料を用いた造形品にも拡大を予定しているという。
本サービスに関する詳細は sales@brule.co.jp へ

Bruleの金属焼結サービスは、PBF方式に比べてコスト面・安全面で大幅な利点を持ちながら、VHS-CUBEによる焼結技術で精度と強度を確保している。これにより、教育機関・研究機関・中小メーカーでも、金属3Dプリントを現実的なコストで導入可能となる。
Bruleは、こうした新技術の普及を通じて「金属3Dプリントの民主化」を推進し、より多くの企業が自社内で金属造形を試せる社会の実現を目指している。

関連記事
- UltiMaker CEOが語る製造革新の未来
 - Ultimakerで造られた3Dプリント茶室
 - UltiMaker、最速のデュアルマテリアル3Dプリンタ「S8」を発表
 - UltiMaker初の産業用3Dプリンタ 「Factor 4」
 
3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターへの登録はこちら
最新情報をお届けします
Twitter でid.artsをフォローしよう!
Follow @idarts_jp








