米国に9棟の3Dプリント高級ヴィラ誕生

テキサスの砂漠地帯に9棟の高級ヴィラを3Dプリント

米国テキサス州マーファに、3Dプリンターとロボティクスを用いた住宅群「Lumen Villas」の建設が始動した。砂漠の中に誕生するこの新しい住宅コミュニティは、環境性能とデザイン性、そして手の届く価格を両立した“3Dプリント技術による未来の街づくり”として注目を集めている。

ヒューストンを拠点とする3D建築企業 HiveASMBLD(ハイヴ・アセンブルド)は、テキサス州のチワワ砂漠の中心に位置する人口わずか2,000人ほどの小さな町マーファで、、3Dプリント技術による新しい住宅群の建設に乗り出した。
「Lumen Villas」と名付けられたこのプロジェクトは、E. Washington Street と Ave C の交差点付近に位置し、最終的に9棟の一戸建て住宅を建設する計画である。すでに1棟目のヴィラは完成間近で、全体の完成は2026年を予定している。
建設される住宅の広さは約140〜170平方メートルで、2〜3ベッドルーム、最大2.5バスルームを備え、販売価格は34万5,000ドルからと、地域の中央値(約49万5,000ドル)を大きく下回る設定となっている。

HiveASMBLDが採用する建設手法の特徴は、3Dプリンターとロボティクスを融合したモバイル型造形システムにある。自動制御されたロボットアームが、独自開発のジオポリマー系セメント代替材を層状に積み重ね、壁や構造体を形成していく。この素材は炭素ニュートラルでありながら、従来のポルトランドセメントよりも強度が高く、環境負荷を大幅に抑えられるという。実際に現場では、1日に3〜4枚の壁をプリントできるスピードで施工が進んでおり、短期間で住宅の骨格を完成させることが可能だ。

完成後の住宅は、美しさだけでなく、省エネと耐久性にも優れた構造を持つ。分厚い外壁構造に加え、高効率の冷暖房システム(HVAC)や省エネルギー家電(Energy Star認証)を組み合わせることで、長期的な運用コストを削減。さらに、湿気や温度変化に強く、従来工法の家よりもメンテナンス頻度が少なく済むよう設計されている。HiveASMBLDの共同CEOであるイーサン・ウォン氏は「私たちは長持ちし、快適で、持続可能な住まいをつくることに焦点を当てています」と語っている。

HiveASMBLDは、ヒューストン近郊で80戸規模の3Dプリント住宅群「Zuri Gardens」も進行中で、Lumen Villasは同社の第二弾プロジェクトとなる。こうした取り組みは、テキサス州のみならず、全米の住宅不足や建設課題の打開策として注目を集めている。


関連記事

3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターへの登録はこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でid.artsをフォローしよう!

     

ページ上部へ戻る