- 2025-10-5
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- 3DPrinting, 3Dプリンティング, concrete, コンクリート, テクノロジー, 建築・建設
地球や月で現地調達した材料を使って一日で家を構築する3Dプリントロボット「Charlotte」
オーストラリアを拠点とするロボティクス系スタートアップ Crest Robotics と、建設技術領域で環境負荷を抑えた持続可能な建築方法を追求するスタートアップ Earthbuilt Technology は、3Dプリント技術を用いてセメントを一切使用せず、現地調達可能な原料を用いて住宅を建設することを目的とした革新的な建設ロボット「Charlotte(シャーロット)」を開発した。
Charlotteは、3Dプリンターと自律走行ロボットを融合した全く新しい建設機械で、現地で調達した素材を取り込み、圧縮し、層を重ねるようにして壁を造り上げていく。地球上では砂、土、砕かれたレンガやガラスなどの廃材を再利用し、輸送の難しい月面では、建材の代わりに月の表面に存在するレゴリスを利用する。これにより、重い資材を地球から運ぶ必要がなくなり、製造や輸送の過程で発生するCO₂排出量を大幅に削減できる。
外観は蜘蛛のような形状で、四方に伸びた脚が柔軟に動くことで、不整地や傾斜のある場所でも安定した作業を行えるだけでなく、モジュール構造のため折りたたんでロケットやトラックで輸送することも可能だ。プリンターが現地に到着すると、自身の脚で姿勢を調整しながら素材を吸い上げ、内部で圧縮して押し出す。あらかじめ設定されたデジタル設計図に沿って、精密に壁や外装を積層しながら自動的に住宅を組み上げていくため、人手を介さずに高精度かつ一貫した建造物を生み出すことができる。
従来の住宅建築は、セメント製造やレンガの成形、輸送、施工といった多段階のプロセスを必要としていたが、Charlotteはこれらを「素材投入から壁完成まで」の単一工程に統合し、建設のスピードと効率を劇的に高めた。Crest RoboticsとEarthbuiltは、この技術により、住宅不足地域での迅速な建設や災害時の仮設住宅建設を現実的なものにすると同時に、月面や火星での居住施設建設といった宇宙建築への応用も視野に入れている。
このプロジェクトは、2025年9月29日から10月3日にオーストラリア・シドニーで開催された「第76回国際宇宙会議(IAC 2025)」でも発表され、宇宙・建設・環境分野の専門家たちの注目を集めた。現在、両社は建設業界や宇宙機関、研究機関と協力しながら、実証実験や量産化に向けた共同開発パートナーを募集中だ。今後は、地球での災害支援住宅やオフグリッド型のエコ建築、そして月面基地の建設など、地球と宇宙の両方で活躍する3Dプリンター・ロボットとして発展していくことが期待されている。
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