3D SparkのCO₂算定を正式採用し、3Dプリント技術の排出量を即時把握—規制対応と現場効率を同時に強化
ドイツ鉄道(DB)は、3Dプリンターで製造する補修部品のCO₂排出量をリアルタイムに把握できる「3D Spark」のレポーティング機能を正式採用した。3Dプリント技術の選定やコスト・納期と同時に排出量を可視化し、環境影響と業務効率の最適解を現場で即時に判断できる体制へ移行する。
従来はライフサイクルアセスメント(LCA)ソフトを使って数日を要していた作業が、CADデータを読み込むだけで即時に結果を得られるようになり、排出量をコストや納期と同じ基準で考慮できる環境が整った。精度は±10%とされ、材料・造形・後加工ごとの内訳まで自動表示されるため、外部委託や専門家の介入を必要とせず現場判断に直結するのが強みである。
この取り組みは、EUで進むCSRDやCBAM、米国の気候開示ルール、カリフォルニア州のAccountability Packageといった規制に対応する狙いもある。今後、産業界では温室効果ガス排出量の迅速かつ透明な開示が求められる中、3Dプリント技術に特化した自動算定は規制遵守と業務効率の両立を可能にする。
3D Sparkプラットフォームのダッシュボードビュー
また、持続可能なモビリティにおける3Dプリントの価値は広がっている。BMWは年間12トン規模の廃材を再資源化し、治具や補助具を3Dプリンターで製造する循環型の仕組みを確立している。Renaultもパリ近郊の「Re-Factory」でリサイクルやレトロフィットと並行して、供給困難な部品を3Dプリントで補う取り組みを進めている。鉄道分野での今回の事例は、自動車業界の先行事例と並び、モビリティ全体の脱炭素化における3Dプリント技術の役割を示すものだ。
CO₂算定の即時化によって、DBは設計から調達までの判断を迅速化し、環境負荷を意識したものづくりを標準化できる。これによりサステナビリティ対応が単なる義務ではなく、コスト削減や効率向上を伴う競争力強化の要素へと変わりつつある。
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