廃プラスチックをカラー制御で自在に着色、循環型3Dプリントを加速するソフトウェア
カナダの州立大学ウェスタン大学の研究チームは、廃プラスチックを分析・調整し、個別に色を指定できる3Dプリント用フィラメントへと変換することが可能オープンソースソフトウェア「SpecOptiBlend」を開発した。これにより、従来のリサイクル材料における「色の再現性の低さ」という課題を大きく改善し、サステナブルで創造性あふれるものづくりを推進する。
圧縮された廃プラスチックサンプル image : ウェスタン大学
「SpecOptiBlend」は、色彩理論とプログラミング技術を融合させたアルゴリズムを活用し、3種の最適化手法(Nelder-Mead法、制限付きBFGS法、逐次二次計画法)を用いて、色の誤差(ΔE CIE-2000)や二乗平均誤差(RMS)といった客観的指標で精度を評価。特にNelder-Mead法が、色の精度と計算効率のバランスに優れることが確認された。また、この技術は「分散型リサイクル・アディティブ製造(DRAM)」という新しいアプローチの一環として位置づけられており、家庭や地域単位でリサイクル素材を活用し、3Dプリンタとオープンソース設計データを用いて低コストで個別製品を製造する仕組みであり、教育・日用品・支援機器など多彩な応用が期待されている。
4色を用いたネイビーブルーの再現 image : ウェスタン大学
近年、3Dプリント技術の多色対応が急速に進化しており、2021年にはオランダ・アイントホーフェン工科大学が、自然界の構造色に着想を得た液晶インクを発表。印刷角度によって色が変化する特性を活かし、装飾やAR用センサーへの応用が期待されている。さらに、米国・PNNL(太平洋岸北西部国立研究所)では、海藻由来の天然素材「アルギン酸」を主成分としたカラフルで環境負荷の少ないバイオインク「ArtSea Ink」を開発。加熱不要の低温3Dプリントにも対応し、食品や医療分野での応用も見込まれる。
SpecOptiBlendは、3Dプリントの新たな局面を切り拓く革新であり、色の自由度が加わることで、リサイクル材料でも美しく、高品質な造形が可能になる。これは、3Dプリント技術が単なる製造手段から、環境配慮と個性を同時に表現する創造のプラットフォームへと進化していることを象徴している。
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