古い戦闘機を3Dプリント原料にリサイクル

英空軍、旧戦闘機部品をリサイクルし3Dプリント技術で新たな機体部品へと生まれ変わらせる

英国空軍は、退役した戦闘機の部品を粉砕し、3Dプリント用材料へと転換する新たなリサイクル技術を導入した。この試みは、AMSおよびRolls-Royceとの協力の下、英国初の取り組みとして注目されており、古いトーネード(Tornado)戦闘機の部品を原料に、次世代戦闘機テンペスト(BAE Systems Tempest)用の新規部品を製造するプロジェクトである。

英国の次世代戦闘機 BAE Systems Tempest

本プロジェクトは、従来の鍛造技術では実現困難な、軽量かつ高強度で耐久性に優れた部品の製造を可能にし、国の防衛産業における先進技術の導入と環境負荷の低減に大きく貢献するとして注目されている。特に、航空機エンジンの低圧圧縮機に使用されるチタンを含む高品質な金属部品を、徹底した洗浄と微粉末化の工程を経て3Dプリントすることで、部品の精度と信頼性を確保している。
この技術革新は、国の戦略的金属資源への依存度を低減し、グローバルなサプライチェーンからの脱却を促進。さらに、3Dプリント技術により部品の製造工程が効率化されることで、納期短縮とコスト削減が実現され、結果として納税者への経済的負担の軽減にも寄与するものと評価されている。

生まれ変わった3Dプリント部品

英国政府の「Plan for Change」の一環として、持続可能な循環型経済の実現と国防技術の革新を同時に推進する本プロジェクトには、英国国防省の関連チームおよび80名以上の専門家が参画し、デジタルプロダクトパスポート(DPP)による素材のトレーサビリティ管理も導入された。これにより、各部品の材料由来やライフサイクルデータが正確に記録され、不正使用の防止や材料配分の最適化が図られているという。さらに、本取り組みは国内防衛産業の成長エンジンとしても期待されており、新規雇用の拡大が見込まれている。

旧戦闘機トーネード(Tornado)

持続可能な循環型経済の実現と国防技術の革新を同時に推進する本プロジェクトは、今後の国防・防衛産業の在り方に大きな影響を与えるだろう。


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