調湿機能を備えた3Dプリント壁

ETHチューリッヒの研究チーム、不快指数を最大85%低減する湿度コントロール可能な新素材を開発

ETHチューリッヒの土木・建築分野の研究チームは、廃棄される大理石粉を再利用した独自の3Dプリント技術を用いて、オフィスや美術館など、高頻度で人が出入りする空間に向けた省エネ型の除湿ソリューションを開発した。

壁や天井に使用することで室内湿度が下がる3Dプリント壁

水分を吸収・放出する3Dプリント用ジオポリマー素材は、大理石の採石現場で生じる廃棄物を微粉末にし、アルカリ溶液を加えて固めることで作られ、従来のセメント類似の機能を持ちながら、製造時のエネルギー消費を大幅に抑えることができる。さらに、プリント工程にはバインダージェット方式を採用しており、可変な形状を自在に成形できるため、天井や壁などの建築部材として高い設計自由度をもたらす。

図書室のような閉鎖空間を想定したシミュレーションでは、天井や壁を厚さ4cmの3Dプリント部材で覆った際、通常と比較して不快指数を75%低減できるという。さらに、厚さを5cmにすると、最大85%の低減効果が得られることも確認された。これにより、高湿度による室内環境の不快感を大きく緩和し、快適性を大幅に向上できることがわかった。

この受動的な除湿プロセスは、機械換気システムに比べてエネルギー消費とCO₂排出を削減する効果が期待できる。研究チームは、今後の研究課題として、より大きな建築空間への適用や、産業規模での生産体制の確立に取り組む方針を示している。


関連記事

3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターの登録はこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でid.artsをフォローしよう!

     

ページ上部へ戻る