大阪・関西万博「日本館」で最先端3Dプリント技術が生み出す循環のものづくりを実演
2025年に開催される大阪・関西万博の日本館では、未来を見据えた「循環型ものづくり」の魅力を、3Dプリント技術を利用して紹介する展示が行われる。日本の伝統と最新技術が融合したこの展示は、資源の効率的かつ持続可能な利用を目指す新たな製造プロセスの未来像を描き出す。
ドラえもんがナビゲートする未来の製造世界
ファクトリーエリアでは、日本を代表する未来のネコ型ロボット「ドラえもん」がナビゲーターとして登場。循環型ものづくりの精神や技術の詳細を、子どもから大人まで楽しみながら理解できるように解説。ドラえもんの親しみやすい案内で、専門的な内容も分かりやすく伝えられる。
ⒸFujiko-Pro
3Dプリント技術で見る循環の実演
「循環型ものづくり」とは、大量生産・大量消費に依存しない持続可能な社会を目指し、資源を効率的かつ循環的に利用する考え方を基盤にしているが、この考え方は、日本に古くから存在する「やわらかく作る」技術に由来する。たとえば、京都の木津川に架かる「流れ橋」は、増水時に部分的に流されることで橋全体を守る設計になっている。この思想は、2024年に世界初のピンポイント月面着陸を実現したJAXAの月面着陸機「SLIM」にも応用されており、着陸時の衝撃を吸収する構造に活かされている。
さらに、1300年以上続く伊勢神宮の「式年遷宮」にも、循環型ものづくりの精神が見られる。「常若(とこわか)」という思想に基づき、20年に一度、社殿や宝物を新しく作り直すことで永続性を保つこの伝統は、現代の技術にも受け継がれている。
特に注目すべき展示は、循環型ものづくりの象徴ともいえる3Dプリント技術の実演である。藻類を活用したバイオプラスチック素材を使用し、2台のロボットアームによる3Dプリンタが、日本館内で実際に使用されるスツールを製作する。来場者は、素材が形を変え、実用品へと生まれ変わる過程を間近で体感できる。これは、素材の「循環」の一部を目に見える形で表現したものであり、資源利用の効率化と持続可能性への新たな可能性を示している。
この展示には、慶應義塾大学COI-NEXTや金沢大学COI-NEXT、エス.ラボ、DigitalArchi、放電精密加工研究所など、複数の先端企業・機関が協力している。
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