- 2024-12-17
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CO₂を素材として取り込む3Dプリントコンクリートが建設の未来を塗り替える
シンガポール南洋理工大学(NTU Singapore)の研究チームは、二酸化炭素(CO2)を吸収するコンクリートを3Dプリントする方法を開発。建設業界における環境への影響を低減する新たな道筋を示した。
セメント1トンを製造する際に排出されるCO2は約770kgと言われており、全世界で生産されるセメントは年間40億トン以上で、製造過程で排出されるCO2は、世界全体のCO2排出量の約8%を占めている。この新しい3Dプリンティング技術は、従来の建築手法が抱える環境負荷、特にCO2排出量削減に大きく貢献する可能性がある。
3Dコンクリートプリントシステムの開発にあたり研究チームは、3DプリンタをCO2ポンプと蒸気噴射装置に接続。このシステムが稼働すると、プリント中のコンクリートミックスにCO2と蒸気が送られる。CO2はコンクリートの成分と反応し、固体の形で素材内に閉じ込められることで、炭素が固定化される。一方、蒸気はCO2の吸収を促進し、3Dプリントされた構造物の特性を向上させる。
ラボで行われたテストでは、プリントされたコンクリート構造が50%のプリント適性向上を示し、さらに強度と耐久性が改善されることが確認された。具体的には、プリントされたコンクリートは通常の3Dプリントコンクリートと比べて、圧縮強度(耐えられる重量)が最大36.8%、曲げ強度(曲げられる限界)が最大45.3%向上した。
この技術は、従来より軽量かつ高強度な建材が生まれるだけでなく、世界全体で建設業から生じる膨大なCO2排出量を低減できる。さらに、3Dプリントによる迅速な成形と人手削減は、コストや時間の面でも業界構造の変革を促すと期待されている。
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