原子力発電所の建設に3Dプリント型枠を活用、建設期間とコストを大幅削減
米国オークリッジ国立研究所(ORNL)は、製造実証施設(MDF)において、3Dプリンターによる大型型枠造形で原子力発電所の建設に革新をもたらしている。3Dプリント技術を活用することで、高精度かつ低コストでの複雑構造施工が可能になり、原子力発電の再評価が進むなか、注目を集めている。
これまで原子力発電所の建設は、膨大な時間と費用を要することが課題であり、工期遅延や予算超過が政治的・経済的リスクを高め、新規建設の障壁となってきた。そこで注目されたのが、3Dプリント技術による「型枠(フォームワーク)」の活用である。
この型枠はカーボンファイバー配合ABS樹脂を素材に、10フィート(約3m)四方の大型部品として出力され、原子炉の防護構造「バイオシールド」などのコンクリート柱の鋳造に使用される。3Dプリント技術を活用することで複雑な形状も一体成形でき、既存の建設プロセスにスムーズに組み込める点が優れている。
特に、原子力のような高精度・高安全性が求められる分野においても、性能面で従来型と同等水準を維持しつつ、施工時間や材料コストの大幅削減が可能となる。MDFのライアン・デホフ所長は、「原子力建設の未来は過去と同じである必要はありません」と語り、3Dプリンターによる建設革新の重要性を強調している。
本プロジェクトには、Additive Engineering Solutions、TruDesign、Airtech、家具向け3DプリンタースタートアップHaddyなど、先進的な企業も多数参画。大型3Dプリントパーツの強度向上や表面仕上げ技術など、それぞれの技術が融合し、次世代エネルギーインフラの実現に貢献している。
今後もさらなる試験や改良が求められるが、原子力をはじめとした高難度のインフラ建設において、3Dプリント技術の導入が持つポテンシャルは極めて大きい。
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