- 2025-7-30
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- Jet Engine, Rocket Engine, テクノロジー, ロケット, 航空機, 金属加工
AI設計と金属3Dプリント技術で次世代ロケットエンジン開発に成功
ドイツの金属3Dプリンター企業 Aconity3D は、AI(人工知能)によって完全自動設計された次世代ロケットエンジン「エアロスパイク型ロケットエンジン」を、銅合金による金属3Dプリント技術で一体成形することに成功した。
航空宇宙用銅合金(CuCrZr)による金属3Dプリントで一体成形されたエアロスパイク型エンジンの製造には、同社の産業用レーザー粉末床溶融結合法(LPBF)マシン「AconityMIDI+」を用いており、除粉処理はSolukon、熱処理はフラウンホーファーレーザー技術研究所(ILT)がそれぞれ担当した。
このエンジンの設計には、LEAP 71が開発したAIエンジニアリングモデル「Noyron」が用いられた。Noyronは従来の設計工程とは異なり、人間による試行錯誤を経ることなく、数分で5kNの推力を持つエンジン構造を自動生成する。設計に物理法則や幾何学、性能条件を組み込んだコードを実行することで、人間の直感では到達しづらい設計空間を探索することが可能となった。
完成したエアロスパイク型エンジンは、燃焼室内に複雑な再生冷却用チャンネルを備え、液体酸素とケロシン(灯油)を効率的に循環させる構造となっている。この構造は燃焼による熱を分散し、過熱を防ぐ役割を担う。
エアロスパイク型は高度に関係なく推進効率を維持できるとされ、将来的な宇宙機推進における重要技術として注目されている一方、その独特な内部形状から従来製法では製造が困難であった。しかし今回、AIと金属3Dプリント技術を組み合わせることで、内部冷却構造を含む複雑な形状を単一素材・単一工程で実現したことは画期的である。
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