3Dプリント技術でエンドウ豆たんぱく質を強化

低コストで栄養価の高いエンドウ豆たんぱく質が、3Dプリント技術でより成形しやすく安定した食品素材へ

カナダの州立大学アルバータ大学の研究チームは、コールドプラズマで活性化したマイクロバブル水(PAMB)を用いて、エンドウ豆のたんぱく質の3Dプリント適性(形状維持)を飛躍的に向上させることに成功した。これにより、コスト効率が高く栄養価に富むエンドウ豆のたんぱく質を多彩な食品製造分野に応用できる可能性が広がる。

3Dフードプリント技術は、複雑な形状・味・食感を自在に創出でき、外食産業だけでなく、個別の栄養ニーズに対応したパーソナライズされた食の開発にも役立つ。エンドウ豆のたんぱく質は、低アレルギー性で、パン、シリアル、植物性乳製品や代替肉など、幅広い食品の主要原料となっているが、押し出し後に形状を維持することが難しく、3Dフードプリント分野での活用が難しいとされてきた。
本研究では、エンドウ豆たんぱく質をPAMBと混合し、加熱・冷却後に3Dプリント成形を実施。その結果、蒸留水で調製した場合と比較して、PAMB添加処理を行ったゲルは、形状保持性や変形抵抗性、貯蔵安定性が著しく向上。これは、PAMB中の空気やアルゴンガスによるたんぱく質の微細な構造変化が、ゲルの強化に寄与したと考えられる。

この研究成果は、コールドプラズマ技術を活用した3Dフードプリントに関する研究の一環であり、最適な加熱・冷却条件やガス組成の解明を通じて、より幅広い植物性たんぱく質や穀物・藻類由来の澱粉素材への応用も期待できる。今後のさらなる研究により、プラズマ技術の活用範囲が拡大し、3Dプリント食品の質的向上や新たな製品カテゴリー創出に寄与する見通しである。
特許出願中の本技術はライセンス提供が可能で、これらの知見を生かしたさらなる実用化・商業化が期待される。

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