- 2025-2-13
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LOTポーランド航空がボーイング737機の部品供給課題を3Dプリント技術で解決
LOTポーランド航空は、ボーイング737機に搭載する座席アームレストキャップの予備部品約1,200個について、従来の射出成形による部品製造から3Dプリント技術を用いた部品を採用することを決定した。
航空機の客室内は日々の運用により摩耗が激しく、アームレストキャップは数千回のフライトで日々劣化する。これまでは、同社倉庫で管理する射出成形部品による交換が行われていたが、予備部品が不足したため、その解決策として3Dプリントによる部品製造に踏み切った。
この判断には、航空機部品の耐久性や安全性の維持が重要であると同時に、従来部品の供給遅延や設計上の弱点を解消する狙いがあった。実際、座席に取り付けられるアームレストキャップは複数の工程を経て製造されるため、ゴム製キャップと射出成形されたプラスチックフレームとの接合部の劣化が激しく、最悪の場合、キャップが外れるリスクがあり、プラスチックフレーム自体も座席との接続部で破損しやすい問題を抱えていた。
同社は当初、座席メーカーから提供される交換部品で対応することを計画していたが、3Dプリントサービスを提供する AM Craft に相談したところ、AM Craft側から、従来の多工程からなる構造を一体成形によって再設計し、弱点となる接合部を排除する3Dプリント製の新型アームレストキャップを提案されこれを採用。3Dプリント製の部品は、従来品よりも耐久性が向上し、将来的な破損リスクの低減も期待されている。
3Dプリントは、従来の射出成形などの製造方法に比べ、工具投資を大幅に抑えられるため、低~中ロット生産においても経済的な選択肢となる。AM Craftは、Stratasys のFDM方式3Dプリンタと「Ultem 9085」フィラメントを使用して部品を生産。プリントされた部品は、航空機の外装・内装部品などの仕上げを専門とする Mankiewicz Alexit のコーティングシステムで色合わせされ、LOTポーランド航空の客室内装に調和する仕上がりを実現している。
また、航空機部品の3Dプリントには厳しい認証が求められるが、AM CraftはEASA Form 1付加材製造業者としての認証を有している。
AM CraftのCEOであるDidzis Dejus氏は「我々は、航空部品の3Dプリントにおける設計及び認証の専門知識を活かし、供給チェーンの課題を解決できたことを誇りに思います。今後もさらなる航空業界の課題に対して、革新的な技術で貢献します」と述べ、同社の技術力と今後の展望を強調した。
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