川の流れを利用した小型水力発電装置開発に3Dプリント技術を活用

自然な河川の流れを利用し発電する小型水力発電装置が遠隔地や発展途上国に電気をもたらす

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3Dプリンティングの可能性を探るデザインコンテストAdditive Design Challenge受賞者であるべルギーのスタートアップ企業Turbulent(Geert SlachmuyldersとJasper Verreydt)は、電気の無い遠隔地や発展途上国に対し、安価で最適な水力発電装置の開発に、3Dプリンティング技術を活用しています。

原発事故後、大きな注目を集めることとなった「再生可能エネルギー」
太陽光、風力、地熱などと並び古くから利用されてきた水力発電システムを、よりコンパクトに低価格で開発するための同プロジェクト。

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本来、安定した電気をより多く供給するためには、大規模なダムの建設などが必要とされていますが、遠隔地や発展途上国において先進国並みの大規模ダム建設は現実的な話ではありません。
しかし、未だ多くの途上国などでは安定した電力供給が行われておらず、環境への影響が懸念されるような汚染エネルギー依存した不安定な発電システムに頼っている面も否めない事実です。

Turbulentが展開するこのプロジェクトは、小規模な河川の自然な川の流れを利用し発電可能な、小型の水力発電装置を開発するためのプロジェクトです。

従来のような大規模な水力発電装置が、コストや環境への影響から設置できない遠隔地や発展途上国に対し、低予算で簡単に設営可能な小型水力発電装置を開発するため、同プロジェクトのエンジニア達は3Dプリント技術を活用しています。

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エンジニアたちは、3Dプリンターを利用し様々なタイプの水力用タービンの開発に取り組んでいます。

当然低コスト化を実現するには開発コストを可能な限り抑える必要があります。しかし、従来のような製造方法で最適な状態のタービン形状を追求するためには、莫大な時間やコストが掛かってしまいます。
そこでエンジニアたちは、3Dプリンターを利用したタービンのプロトタイピングを実施。3Dプリンターを利用したプロトタイピングにより、様々な条件に適したタービンの開発を低価格で実現。

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この発電システムは、数メートルの高低差から発生する緩やかな水流からの発電も可能としており、現在本格的な実良化に向けて試験を行っています。

試験では、小河川でも利用可能な小型の装置で一般家庭3~4軒分程度の電力供給が可能となっているようです。

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開発中のテストサイト

低価格&短時間で研究開発が必要なこのようなプロジェクトでは、3Dプリント技術は欠かすことができないツールとなっているのは間違いありません。
同プロジェクトの実用化が非常に楽しみですね。

Turbulentの特長

  • 地域の生態系を損なうことなく、信頼性の高い安価なエネルギーを作成画期的な水力発電装置
  • 低回転&低圧力のタービンは低剪断を実現し、タービン内に侵入した魚を傷つけることがありません
  • 同類システムでは最小サイズとなる発電装置は、容易に遠隔地などに輸送が可能
  • このシステムは自然な川の流れを妨げません
  • 丈夫な素材で連続使用可能期間 約20年
  • 無線LANによる遠隔モニタリングで、いつでもどこからでも制御可能な遠隔監視ソフトウェアを装備

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