日産自動車デザイン部門におけるForm 2活用事例

日産自動車のデザイン部門は「Form 2」を活用しデザイン試行サイクルを1/10に短縮

日産自動車株式会社の100%子会社で、デザイン部門の拠点の1つであるクリエイティブボックスは、Formlabsの光造形方式3Dプリンタ「Form 2」を活用し、デザイン試行サイクルを1/10に短縮。

個性的なデザイナーが集うクリエイティブボックスは、常に“いままでにないデザイン”を期待される現場において、「新しいデザインを生み出す最も早い方法は、新しい方法で行うこと」と確信し、既存のデザイン手法にとらわれないアプローチを模索。その一環として、デザイナーが思い付いたデザインをすぐに試せるよう、オフィス内にFormlabs Form 2を導入した。

クリエイティブデザインマネージャー西川氏は、導入決定に際し特に高く評価したのは、ゴムのような仕上がりのフレキシブルレジンや強靱で対摩耗性に優れたデュラブルレジンなど、Formlabsが光硬化樹脂(レジン)の多種多様なバリエーションを揃えていることであった。直接手に触れるプロダクトをデザインすることもあり、試作段階において形状はもちろんのこと、その触り心地や物理特性を試せることが重要であり、デザイナーにとって使いやすい3Dプリンタでなければならない。FDM(熱溶融積層方式)3Dプリンタなどでは、良好な出力を得るために3Dモデルの配置や向き、3Dプリンタの各種調整など事前に行わなければならない項目が多くあるが、Form 2はそういった調整項目がほとんどなく、容易に満足できる結果が得られる。また、Form 2は、取り扱いも容易で、専用の設備を必要とせずに使えることも導入を後押した。

試行サイクルを1/10に圧縮した「Form 2」

各種のデザインツールを使ってPCディスプレイ上のデジタルデータでデザインしていくやり方が現在の主流になりつつあるが、デジタルデータだけでは気付きにくい部分や、手触りのようなものの確認のため、クリエイティブボックスでは外部の出力業者に何度かデジタルデータを送って立体モデルを出力しているが、外部業者への依頼では、モデルの品質は良いものの出来上がるまでに10日ほどかかり、出力コストも大きくなるため、デザイナーが失敗を恐れるあまり慎重になって無難なデザインに落ち着かせてしまうことや、出力依頼後にもっと良いデザインを思い付いたために出力物が届いた時にはあまり意味が無くなってしまうことが課題となっていた。

Form 2の導入以降、思い付いたデザインを一晩で出力して翌日には確認できるようになったため、デザインして出力し確認するという試作のサイクルが10分の1に短縮され、デザイナーが本当にやりたいデザインを納得いくまで何度も試せるようになり、結果として最終的なプロダクトは従来の方法よりも良いデザインになった。

クリエイティブボックスにおける「Form 2」採用のポイント

  • さまざまな用途に対応する多種多様なレジン
    素材となる光硬化樹脂(レジン)には、標準的な性質のスタンダードレジンのほか、耐衝撃性や耐摩耗性、ゴムのような柔軟性などさまざまな物理特性を持つエンジニアリングレジン、鋳造用レジン、任意の調色が可能なカラーキットなど、他の光造形3Dプリンタを圧倒する豊富なレジンを用意
  • オフィス内で使えるメンテナンスの容易さ
    特別な換気装置などがない部屋でも設置でき、使出力後の後処理工程を含むメンテナンスも容易で、専門的な技術や知識を持たないユーザーでも扱える
  • 特別の知識なしで最適な出力が得られる確実さと使いやすさ
    日本語対応の3Dプリントソフトウェア「PreForm」は、3Dモデルを最適な向きに自動配置する機能や、サポート材の自動生成機能などを備え、誰でも容易かつ確実に良好な出力が得られる。PCやモバイル端末からでも出力状況や統計情報がいつでも確認できる「Dashboard」を提供。
  • 光造形による優れた出力品質
    高精細な光学機構を搭載し、造形物の表面は滑らかで美しい。造形後の処理が必要な場合でもレジンは加工性に優れ、表面処理のための時間や手間が少なくて済む。


「Form 2が走ったら?」というコンセプトで誕生したミニ四駆ベースの「Form 2 Runner」

「Form 2」がもたらす試行の価値

西川氏は「Form 2」によって、短期間に何度も出力できることの価値を以下のように話している。「失敗できることはデザイナー自身にとっても重要です。ある失敗をすると同じ失敗はしなくなり、失敗させないよう指導するよりも、敢えて失敗させた方が早く確実に成長します。また、我々は手で触れることのできるプロダクトをデザインしています。ディスプレイの中だけでは解決しないことも多く、実際に出力するプロトタイピングを非常に大切にしています。失敗しないように作るより、数多く失敗して何度も考え直し、試行することで、より素晴らしいプロダクトができると確信しています」


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