アップルはヘッドセットスタートアップを3,000万ドルで買収

拡張現実デバイス市場への参入を目指すAppleはARヘッドセットのスタートアップ企業を3,000万ドルで買収

2020年にAR・VRヘッドセットを出荷すると噂されているAppleは、カナダのヘッドセットスタートアップ企業「Vrvana」を3,000万ドル(約33億円)で買収したと、米メディアTech Crunchが報じている。

現時点にてAppleからの正式なコメントは無いが、同社がAR・VR分野の開発に注力していることは周知の事実であり、開発スピードの向上は急務となっている。
既存のVrvana製品の技術が、今後リリースされるかもしれないApple製品に何処まで流用されるかは不明であるが、Vrvana社には、OLEDディスプレイを備えた未発売のARヘッドセットデバイス「Totem」が有り、Appleが欲する技術を既に有している。

Totem技術仕様

  • ディスプレイ:1440p OLED
  • 視野角:120度
  • カメラ:RGB 6MP per eye ultra low latency passthrough IR 720p 60hz
  • 接続インタフェース:DisplayPort 1.2a、USB 3.0
  • センサー:3軸ジャイロ、3軸地磁気
  • オーディオ:3.5 mmジャック、サラウンドサウンド(ステレオ)、ユーザーマイク、2環境マイクロフォン
  • サポートエンジン:Unreal、Unity、OpenVR / SteamVR、SDK
  • プラットフォーム:Windows 10
  • 公式サイト:https://vrvana.com/
    ※ 現在Vrvana社のサイトは稼働しているが、同社は今年の8月以降、ソーシャルアカウントやニュースの更新を行っていない。

VrvanaのAR技術は、MicrosoftのHoloLensのような透過型グラスを備えたヘッドセットとは異なり、ヘッドセット前面に備え付けられたカメラを用いて映像を描画するビデオシースルー方式が採用され、周囲の明るさなどに影響されることなく、現実世界上に完全に不透明な黒を生み出し、トゥルーカラーアニメーションを重ねることができる。これにより、VR環境とAR環境との間をシームレスに移行(ブレンド)することができる。

このシステムにおける主な欠点として、外界をキャプチャするカメラとヘッドセット内に描画される映像との速度に若干の遅延が生じてしまう問題があるが、同社はこれを解決するため様々な研究開発を進めており、3ミリ秒程度までの短縮に成功している。

当初、クラウドファンディングKickstarterでローンチするも失敗したVrvanaは、VR市場の盛り上に乗じて複数のVCから200万ドル近い資金を調達し、開発を継続してきた。今回、VR・ARハード市場への参入を目論むAppleが買収したことで、今後どのようなヘッドセット製品がAppleからリリースされるのか、非常に楽しみである。


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